ボンデ鋼板って言うけれど…。
この前、依頼された部品。
「ボンデ鋼板」と言われていたのですが、ちょっと違う感じがしたので、数個をテストしてみました。
その結果、やっぱりね…。塗装の肌が荒れてしまいました。
仮説を立てて、実験したものが写真。
左が支給されてままの状態、右が対策した状態。
結論からいうと、材料は有機被膜の付いた表面処理鋼板です。
巷では、「ボンデ鋼板」と一括りにされてしまいますが、ボンデ鋼板そのものは、日本製鉄(合併前の旧新日鉄)の商標品です。そして、ボンデ鋼板を含む表面処理鋼板は、用途に応じて塗装下地に使用するものから、そのまま利用するものまで、多種多様あります。
お客さんに、加工した材料の製品名と型番を調べてくださいと、お願いし調べたところ、予想した通りでした。
「別の製品で使用して問題なかった」といっても、それは溶剤系の吹付け塗装の場合であって、化成処理+電着塗装では有機被膜が、破壊されてしまいます。
ということで、原因と対策を説明しました。
写真が、その証拠。部品の一部を拡大したものですが、左がそのままの状態、右が対策したものです。
あえて、ノウハウのようなことを公開しましたが、これには理由があります。
一部、ネットに上がっている技術情報は、時に言葉が足りません。
しかも、引用に引用を重ねると、間違いになります。
ボンデ鋼板で検索すると、とても分かりやすい説明があります。
しかし、実務経験が入っていないため、実務では失敗するときがあります。
今回のようなことが、判断できなかったとしたら、発注側からは「不良品だ!塗装直し!」と言われ、現場からは「材料が悪い!」とケンカ状態になったでしょうね。
どちらも言うことは正しいです。
でもね、あるべき姿としての正解ではないです。
これは設計や材料手配の配慮不足が招いた結果です。
これをお読みになっていただいた方は、特に技術者の方、手配を掛ける方は、心の片隅に置いておいてもらえると嬉しいです。
*この投稿がきっかけで、私が執筆した本にも「表面処理鋼板」で章立てして更に解説を加えました。皆様のお役に立てば幸いです。
表面処理が一番わかる:書籍案内|技術評論社 (gihyo.jp)