チタン・コーティングと塗装の話
チタンに塗装はできますか? 最近、こんな問い合わせがありました。
極論から言うと塗装は出来ます。
ただし、弊社でお取り扱いできるか否かの判断は、状況を把握する必要があります。
重要なことは、用途は何か?です。本当に塗装が必要なのでしょうか?ということです。
どんな素材に対する塗装であれ、どんな製品に使用されるか、その用途は重要な判断基準です。
チタンという素材は、軽量でありつつ、耐食性・強度・耐熱性・生体適合性が良い金属です。
一般的には、航空部品・産業機器・医療用品、眼鏡、ゴルフ用品等に素材の特徴を活かして、使用されます。
塗装屋がいうのもなんですが、「チタンに、わざわざ何故、塗装するのか?」という設計・デザイン的な理由を知る必要があります。
チタンは難加工な素材です。そのため、すぐれた性能を引き出し使用するためには、素材および加工には、相応のコストも掛っていることが想像できます。そこに、塗装してしまってよいのでしょうか?ということです。
塗装屋が言うのも何ですが、チタンに塗装、特に着色するのは、チタンのメリットが薄れます。
チタン製品の塗装で私が想像するのは、既にチタン加工品に、陽極酸化や焼入れ・乾式めっきなどにより、色付けをして変色防止、防汚目的にクリアー塗装する、機能塗装を付加する等です。
チタンコーティングとあったから…。
チタンコーティングに関しては、窒化チタンをイオンプレーディング、蒸着する等、乾式めっきで成膜する方法、あるいは陽極酸化(アルマイトと同様の処理)で色付けしたものを汎用的に“チタンコーティング”と呼んでいます。
チタンコーティングの明確な定義は、私も調べた範囲では把握しておりません。一般に汎用的に使用している用語と認識しております。(異なる場合は、是非ご教授ください。)
先日のお問い合わせでは、海外でチタンに塗装させて、入荷して箱を開けたら、部分的に剥げているという話でした。これを救うのは容易ではありません。部分的には再塗装もできません。製品用途からすると、本来欲しかった外観は、乾式めっきや陽極酸化による着色・チタンコーティングだった感があります。
チタンにコーティングできるか? 必ずしも「コーティング=塗装」ではありません。
で残念な解釈でトラブルのないよう設計の方、デザイナーの方に声が届くことを願っております。
ちなみに世間で分かり易い製品はiPhonePro チタン筐体です。4色あるようですが、Web等で説明や仕上がりを見た感じでは、陽極酸化処理ですね。